先日、30代の高橋さん(仮名)から相談メールをいただきました。
「宗田さん、妻のことで悩んでいます。付き合っていた頃は明るくて、どこへ行くにも『行きたい!』と笑顔だった彼女が、結婚して2年が経った今、まるで別人のようになってしまったんです。週末の外出も億劫がり、家事も適当になり…。何より、あの優しい笑顔が消えてしまいました。僕、何か悪いことをしたのでしょうか?」
このような相談、実は珍しくありません。
「結婚したら妻が変わった」という声は、カウンセリングの現場でもよく耳にします。デートの時は何でも「いいよ」と言ってくれたのに、結婚したら意見をはっきり言うようになった。仕事から帰ると笑顔で迎えてくれていたのに、今はスマホを見ているだけ。趣味にも理解があったのに、今では「またそれ?」とため息をつかれる…。
💭 結婚前の彼女はどこへ行ってしまったのだろう?
💭 自分が何か間違ったことをしているのだろうか?
そんな思いで苦しんでいる夫は少なくありません。
しかし、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。結婚とは二人の関係が大きく変わる転機です。同じ屋根の下で生活するということは、それまで見えなかった部分が見えてくるということでもあります。
【💡行動ヒント:まずは「変化」を責めないで観察してみましょう📎理由:急に解決策を求めると、余計に問題が複雑化することがあります。変化の内容や頻度を客観的に見ることで、本当の問題が見えてくることも】
なぜ嫁は結婚後に変わるのか?その理由とは
結婚後にパートナーが変わったように感じる原因はいくつかあります。それを理解することで、「妻が変わった」という状況を少し違った角度から見ることができるかもしれません。
まず大きいのは環境の変化です。結婚前は、お互いに「良い所」を見せようと努力していた部分があります。デートの時間は限られていて、その間はベストな自分でいられます。でも結婚して24時間一緒になると、どうしても素の自分が出てきます。これは妻だけでなく、あなた自身にも起きていることかもしれません。
次に役割の変化です。恋人から「夫婦」になることで、お互いに抱く期待や責任が変わります。「妻」という役割に対する社会的な期待や、実家での経験から築いた「妻像」と、実際の彼女にギャップが生まれることも。
また見逃せないのが心理的な安心感です。
「結婚した」という安心感から、それまで我慢していたことを言えるようになったり、本音を出せるようになったりすることがあります。これは裏を返せば、あなたとの関係に安心感を持っている証拠でもあるのです。
そして忘れてはならないのがライフステージの変化によるストレスです。
「同居を始めた」「仕事の責任が増した」「子どもの計画を考え始めた」などの変化は、知らず知らずのうちに大きなプレッシャーになります。特に女性は結婚によって、名字や生活環境が変わるなど、アイデンティティの変化を伴うことも多いのです。
💭 結婚前の「理想の彼女」は、実は完璧を演じていた部分もあったのかもしれません。
💭 彼女の変化は、実は「本当の自分」を見せられるようになった表れかも。
【💡行動ヒント:妻の変化を「悪いこと」と決めつけず、新しい一面として受け入れる姿勢を持ってみましょう📎理由:変化を否定すると防衛反応を引き起こし、さらに関係が悪化する可能性があります】
「もしかして自分のせい?」夫が陥りがちな誤解
高橋さんは続けてこう言いました。
「自分がだらしないから妻も変わってしまったのではないか…。もっと稼いでいれば、もっと家事を手伝っていれば、妻は昔のままだったのではないか…」
これは多くの夫が陥りがちな思考パターンです。妻の変化を目の当たりにして、まず自分を責める。もちろん、自分の行動を振り返ることは大切です。でも、あまりにも自分を責めすぎると、本当の問題解決から遠ざかってしまうこともあります。
結婚生活では、二人とも変化していくものです。それは悪いことではなく、むしろ自然なことなのです。
例えば、ある40代の男性は「妻が料理をしなくなった」と嘆いていました。詳しく話を聞くと、彼は妻の料理に対して「もっと塩を減らせば?」「母の味と違うね」などの言葉を何気なく口にしていたことが判明。妻は少しずつ自信を失い、最終的には「あなたの好みに合わせるのは難しい」とキッチンから遠ざかったのでした。
このように、自分では気づかないところで、相手の変化に影響を与えていることもあります。でも、それはあなたが「悪い」というわけではありません。二人の関係性の中で起こった変化であり、二人で向き合うべき課題なのです。
💭 「変わった」と思う前に、実は自分も変わっているかもしれない
💭 問題は「誰のせいか」ではなく、「これからどうするか」
【💡行動ヒント:「責任追及」よりも「理解と対話」を心がけましょう📎理由:責め合いは問題解決にならず、むしろ溝を深めます。まずは状況を理解することから始めることで、建設的な対話が生まれます】
嫁の変化とどう向き合う?できることのヒント
では、「変わってしまった妻」とどう向き合えばいいのでしょうか。いくつかのヒントをお伝えします。
まず大切なのは対話の質を変えることです。
「どうして変わったの?」と詰問するのではなく、「最近、疲れていることある?」「何か手伝えることはある?」と、妻の感情や状況に関心を示す質問をしてみましょう。そして、妻が話し始めたら、途中で解決策を提示したり反論したりせず、まずは最後まで聞くことを心がけてください。
次に感謝の気持ちを伝えることも効果的です。
「いつもありがとう」「助かっているよ」など、当たり前になっていることにも感謝の言葉を伝えてみましょう。特に、具体的に何に感謝しているかを伝えると、より心に響きます。
そして二人の時間を意識的に作ることも忘れないでください。
結婚後は日常に追われがちですが、二人だけの特別な時間を作ることで、関係性を見つめ直す機会になります。以前デートしていた頃の場所に行ってみたり、新しい体験を一緒にしたりするのも良いでしょう。
最後に専門家のサポートを検討することも選択肢の一つです。
夫婦カウンセリングは「問題のある夫婦」だけのものではありません。二人の関係をより良くしたい、お互いをより理解したいと思う夫婦にとって、有意義な時間になります。
💭 変化は否定するものではなく、新たな関係を築くチャンスかもしれない
💭 互いに歩み寄ることで、以前より深い絆が生まれることも
【💡行動ヒント:週に一度の「夫婦ミーティング」を提案してみましょう📎理由:日常の中で話せない思いや感謝、悩みを共有する場を作ることで、小さな誤解が大きな問題に発展するのを防ぎます】
「昔の嫁に戻って欲しい」と願う前にできること
高橋さんは最後にこう言いました。
「正直に言うと、結婚前の彼女に戻ってほしいんです。あの笑顔が恋しい…」
この気持ち、とてもよく分かります。しかし、時計の針を戻すことはできません。そして、それは必ずしも望ましいことではないのかもしれません。
結婚前の彼女は、あなたとの限られた時間の中で見せていた一面だけだったのかもしれません。今のあなたの前にいるのは、もっと複雑で、もっと深みのある「本当の彼女」なのです。
大切なのは、「昔に戻る」ことではなく、今の二人で新しい関係を築いていくことではないでしょうか。
実は、結婚して数年経つと多くのカップルが「マンネリ」や「変化」に直面します。これは二人の関係が次のステージに進むためのプロセスとも言えます。この時期をどう乗り越えるかで、その後の夫婦関係の質が大きく変わってくるのです。
私が以前カウンセリングで出会った田中さん夫妻は、まさにこの問題で悩んでいました。夫の田中さんは「妻が冷たくなった」と感じ、妻は「夫が私を理解してくれない」と感じていました。
二人で取り組んだのは、まず「期待していること」を紙に書き出すことでした。互いの期待を知ることで、思い込みや誤解が解けていきました。そして、週末の時間の使い方を見直し、「個人の時間」と「夫婦の時間」のバランスを整えました。
半年後、二人は「以前より理解し合えるようになった」と笑顔で報告してくれました。変化を恐れず、向き合ったからこそ得られた新しい関係だったのです。
💭 「昔の妻」を求めるのではなく、「今の妻」との新しい関係を築くことが大切
💭 変化は終わりではなく、新たな始まりかもしれない
結婚生活は山あり谷ありの旅のようなものです。時に険しい道もありますが、二人で手を取り合って歩んでいけば、きっと素晴らしい景色が待っているはずです。
【💡行動ヒント:「理想の夫婦像」について二人で話し合ってみましょう📎理由:互いの描く未来像を共有することで、共通の目標が見つかり、そこに向かって一緒に歩む意欲が生まれます】
あなたの結婚生活が、より豊かで深みのあるものになりますように。
コメント