今、この記事を読んでいるあなたは、きっと心の中でため息をついているのではないでしょうか。「また断れなかった…」「どうして自分の意見が言えないんだろう」「いつも周りに合わせてばかりで疲れた」…そんな思いを抱えているのではないでしょうか。
私は長年、オンラインカウンセラーとして数多くの方々の人間関係の悩みに向き合ってきました。その中で最も多い相談が、実は「いい人すぎて疲れた」という声なのです。この悩みは、特に20代後半から40代の方々に多く見られます。仕事でも、プライベートでも、常に周りへの気遣いを求められる年代だからこそ、より深刻な問題として表れてくるのでしょう。
「人間関係に疲れた」そう感じているあなたへ。今日は、私がこれまでカウンセリングを通じて出会ってきた多くの方々の経験と、実際に人間関係を改善された方々の声をもとに、具体的な解決策をお伝えしていきたいと思います。
なぜ私たちは「いい人」であり続けてしまうのか?
つい先日、あるクライアントの方からこんな相談を受けました。
「同僚から無理な残業を頼まれても、断れないんです。自分の予定があっても、『わかりました』と言ってしまう。家に帰ってから『なんで断らなかったんだろう』と後悔するのに、次も同じことの繰り返し…」
この方は34歳の女性会社員でした。真面目で仕事もできる方なのですが、その性格が仇となって、周りからの無理な要求を断れない状況に陥っていたのです。
これは決して珍しいケースではありません。むしろ、現代社会では極めて一般的な悩みかもしれません。なぜなら、私たちの多くは幼い頃から「思いやりを持ちなさい」「周りの人に親切にしなさい」と教えられてきたからです。
特に日本社会では、「和を乱さない」「周りに合わせる」という価値観が強く根付いています。学校教育でも、職場でも、常に「協調性」が重視されます。その結果、私たちは自分の気持ちを押し殺してまでも「いい人」を演じ続けることを、あたかも美徳であるかのように捉えてしまうのです。
しかし、ここで立ち止まって考えてみましょう。本当に「いい人」であり続けることは、周りにとっても、自分にとっても幸せなことなのでしょうか?
「いい人」を続けることで失われていくもの
先日、私のオンラインカウンセリングに参加された32歳の女性Aさんは、涙ながらにこう語っていました。
「気づいたら、自分が何をしたいのかさえわからなくなっていたんです。友達との食事も、映画を見るのも、全部相手の希望に合わせて…。自分の意見を言うと嫌われるんじゃないかって、そればかり考えてました」
この言葉には、私も深く胸を打たれました。なぜなら、かつての私自身もまた、同じような悩みを抱えていたからです。
「いい人」を演じ続けることで、私たちは徐々に大切なものを失っていきます。それは具体的に、次のようなものです。
まず失われるのは、自分の「軸」です。常に相手に合わせることで、自分が本当は何を考え、何を望んでいるのかがぼやけていきます。「これが好き」「これは嫌い」という、ごく基本的な感覚さえも曖昧になってしまうのです。
次に失われるのは、心身のエネルギーです。自分の気持ちに正直になれない状況が続くことで、知らず知らずのうちに精神的な疲労が蓄積されていきます。「なんだか疲れる」「やる気が出ない」という漠然とした不調は、実はこうした心理的なストレスが原因であることが少なくありません。
そして最も深刻なのは、本当の意味での人間関係が失われていくことです。表面的には円満な関係を保っているように見えても、本音で付き合えない関係は、実は極めて脆いものなのです。
ある40代の男性クライアントは、こう語っていました。
「20年来の親友だと思っていた人との関係が、ある日突然崩れました。それまで自分の気持ちを押し殺して合わせてきた反動が、ある日突然爆発してしまったんです。あの時、もっと早く本音で話し合えていれば…」
このように、「いい人」を演じ続けることは、実は周りとの関係性を危うくする要因にもなりうるのです。
「いい人」が陥りやすい負のスパイラル
さらに厄介なのは、「いい人」を演じることで負のスパイラルに陥りやすいという点です。
例えば、こんな状況を想像してみてください。会社の飲み会で、あなたは本当は帰りたいのに断れずに参加します。そして翌日、疲れた状態で出社することになります。集中力が落ちているため仕事のパフォーマンスも下がり、残業せざるを得なくなる。その結果、またプライベートの予定を断らなければならない…。
このような悪循環は、一度始まってしまうと抜け出すのが難しくなります。なぜなら、疲れた状態では適切な判断力も低下してしまうからです。その結果、また「NO」が言えない状況に陥り、さらに疲労が蓄積されていく…。
この負のスパイラルから抜け出すためには、まず「これは問題だ」と認識することが重要です。そして、その問題に向き合う勇気を持つことが必要なのです。
「いい人」から卒業するための第一歩
ここまでお読みいただいた方の中には、「確かにその通りだけど、どうすればいいの?」と思われている方も多いのではないでしょうか。
安心してください。「いい人」から卒業することは、決して不可能なことではありません。むしろ、多くの方が実際に成功されています。大切なのは、適切なステップを踏んでいくことです。
まず最初の一歩として、私がクライアントの方々にお伝えしているのは、「小さなNOから始める」というアプローチです。
たとえば、次のような場面を想像してみてください。友人から「今週末、飲み会があるんだけど来ない?」と誘われた時、あなたは本当は疲れていて家で休みたいと思っています。こんな時、これまでのあなたなら「うーん、でも…」と言いながらも結局は参加を承諾していたかもしれません。
しかし、ここであえて違う選択をしてみましょう。「ごめんね、今週末は体調を整えたいので、また今度お願いします」と、シンプルに、でもはっきりと断るのです。
最初は不安かもしれません。「相手が怒るんじゃないか」「嫌われるんじゃないか」という恐れを感じるのは当然です。でも、実際にやってみると、意外なほどスムーズにいくことが多いものです。
ある20代後半の女性クライアントは、この「小さなNO」を実践して、こんな発見をされました。
「友達を傷つけるんじゃないかって、すごく心配だったんです。でも実際に断ってみたら、『そっか、体調大事だもんね。また今度ね!』って、あっさり了承してくれて…。むしろ、自分が必要以上に気を使いすぎていたことに気づきました」
このように、小さな実践を重ねることで、徐々に自己主張することへの抵抗感が薄れていきます。そして、それは更なる変化への足がかりとなるのです。
「自分の気持ち」を取り戻すためのワーク
しかし、ここで一つ重要な課題が浮かび上がってきます。それは「そもそも自分が何を望んでいるのかわからない」という状態です。
長年「いい人」を演じ続けてきた方々に多く見られるのが、この「自分の気持ちがわからない」という症状です。相手の期待に応えることを優先するあまり、自分自身の感情や欲求を無視し続けてきた結果なのです。
これは決して特異な現象ではありません。むしろ、「いい人」を演じ続けてきた方々にとっては、ごく自然な結果とも言えます。では、どうすれば自分の気持ちを取り戻すことができるのでしょうか。
私がクライアントの方々にお勧めしているのが、「感情日記」をつけることです。これは、一日の終わりに、その日に感じた感情を書き留めていく簡単なワークです。
「今日、同僚に仕事を頼まれた時、『できれば断りたかった』と思った」
「友達とのランチ、実は和食が食べたかったけど、相手の希望する洋食店に行った」
「電車で席を譲った時、疲れていたのに立たなければいけないのが少し辛かった」
このように、些細な感情の動きを記録していくのです。最初は「何を書けばいいかわからない」という方も多いのですが、続けていくうちに、徐々に自分の感情に対する感度が上がっていきます。
あるクライアントの方は、このワークを1ヶ月続けた後、こう語っています。
「最初は本当に何も思い浮かばなくて…。でも書いているうちに、『あ、この時こんな気持ちだったんだ』って気づくことが増えてきました。そして、自分の中にこんなにも多くの感情があることに、正直驚きました」
「優しさ」と「自己犠牲」の境界線
ここで一つ、重要な区別について考えてみましょう。それは「優しさ」と「自己犠牲」の違いです。
多くの方が、この二つを混同してしまいがちです。「相手のために自分を犠牲にすることが優しさだ」と思い込んでしまっているのです。
しかし、本当の優しさとは、自己犠牲とは全く異なるものです。なぜなら、自己犠牲的な関係は、結果として相手にも良い影響を与えないからです。
たとえば、こんな場面を想像してみてください。友人から悩み相談を受けた時、あなたは深夜まで付き合って話を聞きます。しかし翌日は重要な仕事があるため、集中力が低下してしまう。その結果、仕事でミスをしてしまい、周りの人に迷惑をかけることになってしまう…。
これは本当の意味での「優しさ」と言えるでしょうか?
本当の優しさとは、相手も自分も大切にできる関係性の中で生まれるものです。自分を疲弊させてしまっては、誰かの力になることもできません。
ある40代の男性クライアントは、この気づきについてこう語っています。
「以前の私は、部下からの相談は必ず即座に受けていました。深夜でも休日でも、『上司として当然だ』と思っていたんです。でも、それが原因で体調を崩してしまい、一か月間休職することになってしまった。結果的に、部下たちにより大きな負担をかけることになってしまったんです」
その後、彼は働き方を見直しました。緊急でない相談は、翌日の業務時間内に行うようにする。深夜の連絡は原則として受けない。そういったルールを設定したのです。
「最初は部下たちの反応が心配でした。でも実際には、むしろ『私たちも気を遣わせてしまっていましたよね』という声が返ってきたんです。今では、お互いの時間を尊重し合える、より健全な関係が築けています」
「心地よい距離感」を見つけるために
では、具体的にどうすれば「心地よい距離感」を築いていけるのでしょうか。
私がクライアントの方々にお伝えしているのは、まず「24時間ルール」を実践してみることです。これは、誰かから何かを頼まれた時、すぐに返事をせず、24時間考える時間を取るというものです。
「すみません、少し考えさせていただいてもいいですか?」
「明日までに返事させていただけますか?」
このように、一呼吸置くことで、より冷静な判断ができるようになります。
実は、この「時間を置く」という行為には、相手との関係性を健全に保つ効果もあります。なぜなら、すぐに答えを出さないことで、相手にも「この要求は本当に必要なのか」を考える機会を与えることになるからです。
ある30代の女性クライアントは、この実践で興味深い発見をしました。
「友人から習い事に誘われた時、いつもなら『うん、行く!』とすぐに答えていたと思います。でも24時間考えてみると、実は自分の経済状況や時間的な余裕を考えた時に、今は始められる状況ではないことに気づいたんです。そのことを正直に伝えたら、友人も『そうだよね、確かに今は大変な時期だもんね』と理解してくれました」
「自分軸」を取り戻すためのステップ
長年「いい人」を演じてきた方にとって、突然の変化は現実的ではありません。むしろ、段階的なアプローチが効果的です。
私がお勧めしているのは、次のような段階を踏んでいくことです。
まず第一段階として、自分の感情に気づくことから始めます。先ほどお話しした「感情日記」は、その有効なツールの一つです。日々の中で「これは嫌だな」「こうしたいな」という気持ちに、意識的に目を向けていくのです。
第二段階では、その感情を少しずつ言葉にしていきます。最初から大きな主張をする必要はありません。「今日は少し疲れているんです」「実は別の予定があって…」といった、ごく簡単な自己開示から始めてみましょう。
そして第三段階で、実際の行動変容に進んでいきます。例えば、無理な誘いを断ったり、仕事の優先順位について上司と相談したり。ここでも、いきなり大きな変化を求める必要はありません。小さな一歩から、着実に進んでいけばよいのです。
「変化」がもたらす意外な発見
「いい人」を卒業する過程で、多くの方が意外な発見をされます。それは、案外周りは自分の変化を肯定的に受け止めてくれるということです。
先日、あるクライアントからこんな報告を受けました。
「これまで、同僚からの飲み会の誘いは必ず参加していました。でも、最近は体調と相談しながら、時には『今日は遠慮させてください』と伝えるようになりました。すると意外なことに、『そうだよね、無理する必要ないよ』『体調管理も大事だもんね』と、むしろ応援してくれる人が多かったんです」
この経験は、決して珍しいものではありません。なぜなら、多くの人は実は「相手の本音」を聞きたいと思っているからです。形式的な付き合いより、お互いが正直に気持ちを伝え合える関係の方が、はるかに心地よいものなのです。
「変化」を恐れない勇気
私のオンラインカウンセリングに参加される方々の多くが、最初はこう語ります。
「変わりたいのはやまやまなんです。でも、今の関係が壊れてしまうのが怖くて…」
この不安は、とても自然なものです。なぜなら、私たちは現状に不満を感じながらも、その「慣れ親しんだ不快さ」に安心感を覚えてしまうからです。それは、まるで古い靴のようなものかもしれません。少し窮屈でも、長年履いているうちに形になじんでしまった靴を、新しいものに替えることへの躊躇い…。
しかし、ここで考えてみてください。その「慣れ親しんだ不快さ」は、本当にあなたが望む関係性なのでしょうか?
ある30代前半の女性クライアントは、変化を決意するまでの心境をこう語ってくれました。
「友人との付き合いに疲れ果てていました。でも、『これが普通なんだ』って思い込んでいたんです。カウンセリングで『あなたにとっての心地よい関係って、どんなものですか?』って聞かれた時、はっと気づいたんです。今の関係が、全然心地よくないって…」
実は、「変化」への恐れ以上に怖いのは、この「不健全な関係」に縛られ続けることなのかもしれません。なぜなら、それは確実にあなたの心と体を蝕んでいくからです。
「本当の自分」を取り戻すプロセス
では、どうすれば「本当の自分」を取り戻していけるのでしょうか。
私がクライアントの方々と一緒に取り組んでいるのが、「価値観の棚卸し」です。これは、自分の行動や決定の基準となる価値観を、一つひとつ見直していく作業です。
例えば、「人に嫌われたくない」という価値観。この思いは一見、とても自然に思えます。しかし、よく考えてみると、これは本当に「あなたの」価値観なのでしょうか?それとも、周りから押し付けられた価値観なのでしょうか?
ある40代後半の男性クライアントは、この「価値観の棚卸し」で重要な発見をしました。
「『仕事は常に完璧でなければいけない』という信念を持っていました。でも、それは本当に私自身の価値観だったのか?と考えてみたんです。すると、それは実は父親から刷り込まれた価値観だったことに気づいたんです。父は『男は仕事一筋でなければ』という古い価値観の持ち主で…。その価値観を無意識に受け継いでいただけだったんですね」
このように、自分の価値観を意識的に見直すことで、「本当の自分」が少しずつ見えてくるものです。
「新しい関係性」が開く扉
「いい人」を卒業し始めると、驚くような変化が起こり始めます。
まず気づくのは、体力的な余裕です。これまで無理をして付き合っていた約束や予定が減ることで、自然と心身の疲労が軽減されていきます。
次に感じるのは、精神的な解放感です。「この人の機嫌を損ねないように」「あの人に嫌われないように」といった、絶え間ない気遣いから解放されることで、心が軽くなっていきます。
そして最も大きな変化は、人間関係の質が変わっていくことです。表面的な付き合いが減る一方で、本音で話せる関係が深まっていくのです。
ある20代後半の女性クライアントは、その変化をこう表現しています。
「最初は友達が減るんじゃないかって不安でした。実際、連絡が減った人もいます。でも、残った関係は驚くほど深いものになっていったんです。『あなたが本音で話してくれるから、私も安心して話せる』って言われて…。今までの関係が、いかに表面的だったかを実感しました」
「理想の関係」への階段を上る
しかし、ここで注意したいのが、この変化は一朝一夕には起こらないということです。それは、まるで階段を一段一段上っていくようなものです。
私がクライアントの方々にお伝えしているのは、この「階段」を焦らずに上っていくことの大切さです。たとえ小さな一歩でも、確実に前に進んでいけば、必ず目標に近づいていけるのです。
最初の一歩は、意外なほど小さなものかもしれません。例えば…。
ランチの誘いを受けた時、「今日は別の予定があるので…」と、小さな「NO」を伝えてみる。仕事の依頼を受けた時、「少し考える時間をいただけますか?」と、即答を避けてみる。SNSのメッセージにすぐに返信せず、自分の都合の良いタイミングまで待ってみる…。
一見些細に思えるこれらの行動も、実は大きな一歩なのです。なぜなら、それは「自分の気持ち」を大切にするという、新しい習慣の始まりだからです。
「変化」の中で起こる揺れ動き
しかし、この変化の過程では、時として予期せぬ感情の揺れに直面することもあります。
ある35歳の女性クライアントは、変化の過程でこんな経験をしました。
「友人からの飲み会の誘いを初めて断った時、すごく後悔したんです。『やっぱり行けば良かったかな』『嫌な思いをさせてしまったんじゃないか』って。でも、その友人から『体調管理って大事だよね。また元気な時に会おう!』というメッセージが来て…。私の中の『断ることは悪いこと』という思い込みが、少しずつ溶けていくのを感じました」
このような揺れ動きは、むしろ健全なプロセスの一部だと言えます。なぜなら、それは長年築き上げてきた行動パターンが変化している証だからです。
大切なのは、その揺れを「失敗」とは捉えないことです。むしろ、それは「変化の過程で起こる自然な反応」として受け止めていきましょう。
「新しい自分」との出会い
変化の過程で、多くの方が思いがけない発見をされます。それは、自分の中に眠っていた「新しい可能性」との出会いです。
ある42歳の男性クライアントは、こんな経験を語ってくれました。
「上司からの無理な仕事の依頼を、初めて丁寧に断ったんです。『現在の案件に集中したいので、新しい案件は来週以降でお願いできませんか』って。正直、凄く緊張しました。でも意外なことに、上司が『そうだな、確かに今の案件が重要だよね。ありがとう、よく言ってくれた』って…。その時、『自分の意見を伝えることで、むしろ信頼関係が深まることもあるんだ』って気づいたんです」
このように、「いい人」から卒業することは、決して人間関係を損なうことではありません。むしろ、より深い、より本質的な関係性を築くきっかけとなることも多いのです。
「自分らしさ」を取り戻すための日々の実践
では、具体的にどのような実践を積み重ねていけばよいのでしょうか。
私がクライアントの方々と取り組んでいるのが、「三つの意識」です。これは、日常生活の中で意識的に取り入れていただきたい三つの視点です。
一つ目は「感情への意識」です。日々の生活の中で、自分がどんな感情を感じているのかに意識を向けます。「この状況で私は本当はどう感じているのだろう?」という問いかけを、意識的に行っていくのです。
ある30代の女性クライアントは、この実践でこんな発見をしました。
「同僚とのランチ、いつも『楽しい』って思い込んでいました。でも実は、毎回の愚痴話にすごく疲れていたんです。それに気づいてからは、時には一人でランチを取ることも選べるようになりました」
二つ目は「身体への意識」です。私たちの身体は、時として言葉以上に正直に感情を表現します。胃が重くなる、肩が凝る、頭が痛くなる…。そんな身体の声に耳を傾けることで、自分の本当の気持ちに気づけることも多いのです。
ある38歳の男性クライアントは、この「身体の声」との対話でこんな気づきを得ました。
「取引先との会食の前に、いつも胃が重くなっていました。でも『仕事だから仕方ない』って無視していたんです。ある時、その違和感に正直に向き合ってみたら、実は相手の高圧的な態度にストレスを感じていたことに気づきました。その後、上司に相談して担当を変えてもらいましたが、むしろ『よく言ってくれた』と評価されました」
そして三つ目は「境界線への意識」です。あなたと相手との間には、健全な境界線が必要です。それは、お互いの価値観や生活を尊重するための大切なラインなのです。
「境界線」が育む、より深い信頼関係
この「境界線への意識」について、印象的な事例がありました。
33歳の女性クライアントBさんは、親友との関係に悩んでいました。深夜でも頻繁に電話がかかってきて、長時間の愚痴を聞かされる日々。「親友だから」と我慢を重ねていましたが、次第に心身の疲労が限界に達していました。
カウンセリングを通じて、Bさんは少しずつ変化を始めました。まず、「23時以降は電話に出られない」というルールを設定。そのことを友人に伝える時は、とても緊張したそうです。
「きっと怒るんじゃないかって…。でも、意外な反応が返ってきたんです。『ごめん、私も気づかないうちにあなたに依存しすぎてた。これからは気をつけるね』って。その言葉を聞いた時、涙が出そうになりました」
このように、適切な境界線を設けることは、むしろ関係性を深める契機となることも多いのです。なぜなら、それは「お互いを一個人として尊重する」という姿勢の表れだからです。
「変化」を持続させるための秘訣
しかし、ここで多くの方が直面する課題があります。それは「せっかく変化を始めても、また元の自分に戻ってしまう」という悩みです。
45歳の男性クライアントCさんも、最初はそんな状況でした。
「最初の一週間は上手くいくんです。でも、ストレスが溜まってくると、つい『はい、わかりました』って言ってしまう。気づいたら、また元の『いい人』に戻っている…」
この課題に対して、私が提案しているのが「変化の可視化」です。具体的には、日々の小さな変化や気づきを記録していく実践です。
例えば、「今日初めて残業を断れた」「友人の無理な要求にNOと言えた」といった出来事を、スマートフォンのメモ帳やノートに記録していくのです。
一見些細に思えるこの習慣が、実は大きな効果を発揮します。なぜなら、私たちは往々にして「変化」を過小評価しがちだからです。日々の小さな進歩は、気づかないうちに積み重なっていきます。それを意識的に記録することで、自分の成長を実感できるのです。
「新しい自分」との出会いがもたらすもの
ある37歳の女性クライアントDさんは、変化の過程でこんな発見をしました。
「『いい人』を卒業していく中で、思いがけない発見がありました。それは、自分の中にある『強さ』との出会いです。これまで『自己主張は良くないこと』って思い込んでいたから、自分の意見を言うのが怖かった。でも、少しずつ実践していく中で、『私には自分の意見を持つ権利がある』って、心から実感できるようになってきたんです」
この「強さとの出会い」は、多くのクライアントの方々が経験される変化です。それは決して「攻撃的になる」ということではありません。むしろ、自分の価値観を大切にしながら、相手との健全な関係を築いていく力なのです。
「本当の自分」を生きることの喜び
変化の過程で、もう一つ興味深い発見があります。それは「自分らしく生きることが、周りにも良い影響を与える」という気づきです。
28歳の女性クライアントEさんは、この発見についてこう語っています。
「私が変化し始めたら、周りの友達も少しずつ変わっていったんです。『私も実は無理してた』『あなたを見て、勇気をもらった』って。自分の変化が、誰かの背中を押すことにもなるんだって、その時初めて気づきました」
このように、「いい人」からの卒業は、決して孤独な旅路ではありません。むしろ、それは周りの人々との新しい、より深い絆を育んでいく過程でもあるのです。
「新しい人生」への扉を開く
変化の過程で、多くの方が一つの重要な気づきを得ます。それは「自分らしく生きること」が、決して利己的な選択ではないという真実です。
先日、あるクライアントから印象的な報告を受けました。
「娘から『お母さん、最近笑顔が増えたね』って言われたんです。周りに合わせることに必死で、自分の気持ちを押し殺してきた私。でも、少しずつ自分の気持ちに正直になっていったら、不思議と心に余裕が生まれてきて。その変化を、一番身近な娘が感じ取ってくれていたんですね」
このように、自分を大切にすることは、周りの人々との関係性をも豊かにしていくのです。
「自分らしさ」を取り戻すためのジャーニー
私がオンラインカウンセリングで多くの方々と関わる中で、実感していることがあります。それは、誰もが「本当の自分」を生きる可能性を持っているということです。
ある42歳の男性クライアントは、半年間の変化をこう振り返っています。
「最初は正直、半信半疑でした。『こんな年齢になって、本当に変われるのか』って。でも、一つひとつのアドバイスを実践していく中で、少しずつ変化が現れ始めた。特に大きかったのは、『完璧を求めすぎない』という助言でしたね。『今の自分にできることから、少しずつでいい』って考えられるようになった時、不思議と心が軽くなったんです」
明日からできる、具体的な一歩
変化は、決して大きな決断から始める必要はありません。むしろ、日々の小さな選択の積み重ねが、大きな変化につながっていくのです。
例えば、こんな実践から始めてみてはいかがでしょうか。
朝起きた時、まず自分の気持ちに耳を傾けてみる。「今日の私は、どんな気分だろう?」という問いかけから始めるのです。
仕事中に新しい依頼を受けた時は、すぐに「はい」と答えるのではなく、「少し確認させていただけますか?」と、一呼吸置いてみる。
友人からの誘いを受けた時は、自分の予定や体調と相談してから返事をする。
これらは、とても小さな変化に思えるかもしれません。でも、この小さな実践の一つひとつが、あなたの「新しい人生」への確かな一歩となるのです。
「変化」を支える力
しかし、この変化の過程では、時として不安や迷いを感じることもあるでしょう。そんな時、心強い味方となるのが、同じような経験を持つ仲間たちの存在です。
私のオンラインコミュニティでは、多くの方々が互いの経験を分かち合い、支え合っています。時には励まし合い、時には具体的なアドバイスを交換し合う。そんな関係性の中で、一人ひとりが確実に変化を遂げていくのを、私は日々目の当たりにしています。
新しい「あなた」との出会いに向けて
「いい人」を卒業することは、決して「悪い人」になることではありません。それは、より誠実に、より深く、自分らしく生きていくための選択なのです。
そして、その選択は必ず報われます。なぜなら、それはあなた自身の人生を、あなたの手に取り戻す旅路だからです。
今、この記事を読んでくださっているあなたも、きっと変われます。いえ、すでに変化は始まっているのかもしれません。この記事を最後まで読もうと思った、その決断の中に、すでにあなたの「変わりたい」という意志が込められているのですから。
私は、これからもオンラインを通じて、多くの方々の人生の転換期に寄り添っていきたいと思います。なぜなら、一人ひとりが自分らしく生きられる社会こそ、私たちが本当に目指すべき未来だと信じているからです。
あなたの「新しい人生」への一歩を、心から応援しています。
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