「ありがとう」という言葉。たった数文字の言葉なのに、それがあるかないかで、私たちの心はずいぶん違った状態になるものです。特に自分が何かをしてあげたのに、相手からの感謝の言葉がないと、なんとも言えないモヤモヤした気持ちになることがありますよね。今日はそんな「感謝されないことへのモヤモヤ」について考えてみたいと思います。
「ありがとう」がないと、なんだかモヤモヤする
先日、40代の男性読者・ケンタさん(仮名)から相談メールをいただきました。
「宗田さん、いつも記事を楽しく読んでいます。実は最近、職場の人間関係でモヤモヤすることがあって。僕は基本的に人に頼まれごとをされると断れないタイプで、同僚の仕事をよく手伝うんです。でも、手伝った後に『ありがとう』の一言もない同僚がいて…。その度に『自分の親切は当たり前と思われているのかな』と落ち込んでしまうんです。」
ケンタさんのメールを読みながら、私は「あぁ、わかるなぁ」と深くうなずいていました。相手のために時間や労力を使ったのに、感謝の言葉がないとガッカリしますよね 💭
また、こんな相談も多いんです。「飲み会で毎回幹事をやっているけど、誰も労をねぎらってくれない」「チームのために休日返上で資料を作ったのに、リーダーは当然のように受け取るだけ」。
感謝されないとこんなに落ち込むのか…と自己嫌悪に陥る方もいますが、それは決して「弱さ」ではありません。むしろ、人として自然な感情です 😢
思い返せば私も、以前勤めていた編集部で企画書を徹夜で仕上げたときのこと。上司は「うん、これでOK」と言うだけで、労いの言葉はありませんでした。「ありがとう」のたった一言がほしかったな、と今でも思い出します。
【💡行動ヒント:モヤモヤする気持ちをノートに書き出してみましょう 📎理由:感情を言語化することで、自分の気持ちを整理でき、「なぜ自分がモヤモヤするのか」が明確になります】
感謝されたいのは当然の気持ち?
「見返りを求めるなんて、なんだか打算的で…」「相手のために行動するなら、感謝なんて期待すべきじゃない」
そんな風に、感謝を期待する自分に罪悪感を持つ方も多いのではないでしょうか。実は私もそうでした。長い間、「与えるだけで見返りを求めない人こそ素晴らしい」と思い込んでいたんです。
でも、ある心理学の先生との対話で考えが変わりました。「人間は社会的生き物です。他者との関わりの中で、自分の存在や行動が認められることは、基本的な心理的欲求なんですよ」と教えていただいたのです。
つまり、感謝されたいと思うのは、ごく自然な感情なんです 💭 「ありがとう」という言葉は、私たちの行動や存在が相手に価値をもたらしたという証。それを求めるのは、人間らしさの表れかもしれません。
ケンタさんも、「感謝の言葉を求めるなんて、自分は見返りばかり求める小さな人間なのかも…」と悩んでいましたが、決してそうではありません。むしろ、人間関係における健全なバランス感覚の表れではないでしょうか。
私たちは誰しも、自分の行動が他者に認められ、感謝されることで、人間関係の中での自分の居場所を確認しているのかもしれません。「ありがとう」は単なる礼儀以上に、人と人とをつなぐ大切な言葉なのです。
【💡行動ヒント:毎日、自分が誰かに「ありがとう」と言った回数、言われた回数を数えてみましょう 📎理由:自分と周囲との感謝のバランスを客観的に把握することで、自分の人間関係の現状を理解しやすくなります】
人間関係は”ギブ&テイク”じゃなくて”心地よいバランス”
「ギブ&テイク」という言葉、よく耳にしますよね。でも、この考え方を厳密に当てはめようとすると、人間関係がどこか計算高いものになってしまうことがあります。「自分がこれだけ与えたのだから、相手からもこれだけ返ってくるはず」という期待が生まれると、失望も大きくなりがちです。
実際、ケンタさんも「自分がこれだけ手伝っているのだから、せめて感謝の言葉くらい欲しい」と思っていました。その気持ち、とてもよくわかります 💭
でも、人間関係において大切なのは、厳密な「ギブ&テイク」よりも「心地よいバランス」なのではないでしょうか。
私の友人に、いつも気前よく人にプレゼントを贈る人がいます。ある日、彼女に「みんなからのお返しはどうしてるの?」と聞いたところ、こんな答えが返ってきました。
「お返しを期待してあげているわけじゃないの。ただ、相手が喜ぶ顔が見たいから。でも、常に一方的に与えるばかりだと、関係がアンバランスになって長続きしないことも知っているわ。だから、自分が気持ちよくあげられる範囲で、無理なくやっているの」
なるほど、と思いました。大切なのは「見返りを厳密に計算すること」ではなく、「自分自身が納得できるバランス」なのかもしれません。
ケンタさんのケースで考えると、毎回手伝いを頼まれるたびに引き受けるのではなく、自分が「これくらいなら気持ちよくできる」と思える範囲で協力するというのも一つの方法でしょう。
【💡行動ヒント:「これは自分が心地よくできること」「これは少し負担に感じること」をリストアップしてみましょう 📎理由:自分の心地よいバランスの境界線を知ることで、無理なく人間関係を続けるコツが見えてきます】
「ありがとう」を期待しすぎないためにできること
では、感謝の言葉が少ない環境で、どうすれば心のバランスを保てるのでしょうか。
まず大切なのは、行動する前に「なぜ自分はこれをするのか」を自問することです。「感謝されたいから」ではなく、「自分がそうしたいから」という動機であれば、相手の反応に左右されにくくなります。
ケンタさんの場合、「断れない性格だから」という理由で手伝っていました。でも、本当はどうなのでしょう?「人の役に立つことが好きだから」「チームワークを大切にしたいから」など、自分の価値観に基づいた理由があれば、感謝されなくても満足感は得られるかもしれません。
また、すべての依頼を引き受ける必要はありません。「やらない選択」も持っておくことが大切です。「すみません、今日は別の予定があるので…」と断ることも、健全な人間関係の一部です。
私自身、以前は「NoとかYesButが言えない症候群」でした 😅 しかし、ある日気づいたんです。自分の限界を超えて無理をし続けると、最終的には自分も相手も不幸になると。少し勇気を出して「今回は難しいです」と言えるようになると、不思議と周りの人も私の境界線を尊重してくれるようになりました。
また、感謝の表現は言葉だけではないことも覚えておきましょう。微笑みや、次に何か頼まれたときの対応など、相手なりの「ありがとう」があるかもしれません。言葉にこだわりすぎず、広い視野で人間関係をとらえることも大切です。
【💡行動ヒント:次に何かを頼まれたら、まず3秒考える時間を取りましょう 📎理由:即答せず少し間を置くことで、自分の本当の気持ちに気づき、無理のない返答ができるようになります】
「ありがとう」を求めすぎないと、人間関係が楽になる
最後に、期待を少し下げることの素晴らしさについてお話しします。
ケンタさんには、「感謝の言葉がなくても自分が納得できる範囲で協力する」という考え方を提案しました。すると彼から1か月後、こんな報告がありました。
「宗田さんのアドバイスを実践してみました。自分が無理なく対応できる範囲を決めて、それ以上は丁寧に断るようにしたんです。すると不思議と、『いつもありがとう』と言ってくれる同僚が増えたんです。期待していないときに感謝されると、倍うれしいですね」
私もこの話を聞いて、なるほどと思いました。期待を下げることで、逆に感謝を受け取りやすくなるんですね 💡
もちろん、理想は皆が自然に「ありがとう」を伝え合える環境です。でも現実には、感謝の表現が少ない場面に遭遇することもあります。そんなときは、まず自分自身が「ありがとう」を惜しみなく伝える存在になってみるのはどうでしょうか。
私の経験では、感謝の言葉は伝染します。職場や家庭で「ありがとう」を積極的に口にする人がいると、周囲もそれに影響されて、自然と感謝の言葉が飛び交うようになるものです。
感謝されたいという気持ちは当然ですが、それに執着しすぎると、逆に人間関係が窮屈になります。少し肩の力を抜いて、「自分は自分のペースで、できることをする」というスタンスを持つことで、人間関係はもっと楽に、もっと豊かになっていくのではないでしょうか。
あなたも今日から、「感謝されるため」ではなく「自分が気持ちよくできる範囲で」行動してみませんか?きっと新しい景色が見えてくるはずです。
【💡行動ヒント:今日一日、誰かに「ありがとう」と言うとき、具体的に何に感謝しているかを添えてみましょう 📎理由:「いつもありがとう」より「あの資料、わかりやすくてありがとう」など具体的な感謝は相手に伝わりやすく、あなた自身も感謝の気持ちを実感できます】
「ありがとう」が飛び交う関係は、確かに心地よいものです。でも、そこにこだわりすぎず、まずは自分自身が納得できる関わり方を見つけることが、長く続く人間関係の秘訣かもしれません。完璧なバランスを求めるのではなく、お互いが「これでいい」と思える関係こそ、本当の意味で「心地よいバランス」なのではないでしょうか。
あなたの周りの人間関係に、少しでも心地よいバランスが生まれることを願っています。今日も記事を読んでくださり、ありがとうございました。
コメント